はじめに
こんにちは、日帰り手術を専門とする広島アルプスクリニックです。
陰嚢水腫は、陰嚢内に液体が貯留する状態を指す泌尿器科の疾患です。
この記事では、陰嚢水腫の概要、原因、症状、診断方法、そして治療法について詳しく解説します。
陰嚢水腫とは
陰嚢水腫は、精巣を覆う膜(精巣鞘膜)の内部に水様の液体が溜まる状態です。
これにより陰嚢が腫れ、大きくなります。
新生児から成人まで、あらゆる年齢で発症する可能性がありますが、特に新生児と高齢者に多く見られます。
陰嚢水腫の種類
1.先天性陰嚢水腫:新生児や乳児に見られるもの
2.後天性陰嚢水腫:成人になってから発症するもの
陰嚢水腫の原因
陰嚢水腫の原因は年齢によって異なります。
新生児の場合:
- 胎生期の精巣下降過程での異常(鞘状突起の閉鎖不全)
成人の場合:
- 1.精巣鞘膜での液体産生と吸収のバランス異常
- 2.リンパ管や血管の閉塞
- 3.外傷
- 4.精巣捻転症などの精巣疾患
- 5.精巣腫瘍
- 6.感染症(精巣上体炎など)
- 7.心不全や腎不全などの全身疾患
症状
陰嚢水腫の主な症状は以下の通りです。
- 1.陰嚢の無痛性腫大(片側または両側)
- 2.重さや不快感(大きな水腫の場合)
- 3.陰嚢皮膚の緊張
診断方法
陰嚢水腫の診断には以下の方法が用いられます。
- 1.視診と触診:医師が陰嚢を観察し、触れて評価します。
- 2.透光試験:陰嚢に光を当てて透過性を確認します。水腫の場合、光が透過します。
- 3.超音波検査:陰嚢内部の状態を詳細に観察できます。
- 4.CT検査やMRI検査:必要に応じて行われ、他の疾患との鑑別に役立ちます。
治療法
治療法は患者の年齢や水腫の大きさ、原因などによって異なります。
新生児の場合:
- ●多くの場合、1〜2年で自然に消失するため、経過観察が一般的です。
- ●2歳を過ぎても消失しない場合は手術を検討します。
成人の場合:
- 1.経過観察:小さな水腫で症状がない場合
- 2.穿刺吸引:一時的な対症療法として行われることがあります。
- 3.手術療法:
- ●開放手術:水腫を切除し、精巣鞘膜を部分的に切除します。
- ●腹腔鏡手術:より侵襲の少ない方法で、回復が早いです。
合併症と注意点
- ●感染:稀ですが、水腫に細菌が侵入して感染することがあります。
- ●不妊:非常に大きな水腫の場合、精子形成に影響を与える可能性があります。
- ●精巣捻転との鑑別:急性陰嚢症の場合、精巣捻転との鑑別が重要です。
予防法
陰嚢水腫そのものを予防することは難しいですが、以下の点に注意することで、関連する問題を予防できる可能性があります。
- 1.定期的な自己検診:陰嚢の変化に早めに気づくことができます。
- 2.適切な衛生管理:感染リスクを低減します。
- 3.外傷の予防:スポーツ時のプロテクター使用など。
まとめ
陰嚢水腫は、多くの場合良性で生命を脅かすことはありませんが、不快感や心理的ストレスの原因となることがあります。
症状に気づいた場合は、早めに泌尿器科医を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
特に、急激な痛みや腫れがある場合は、緊急性のある他の疾患の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。
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