コラム

陰嚢水腫について

2024.10.10

はじめに

こんにちは、日帰り手術を専門とする広島アルプスクリニックです。

陰嚢水腫は、陰嚢内に液体が貯留する状態を指す泌尿器科の疾患です。

この記事では、陰嚢水腫の概要、原因、症状、診断方法、そして治療法について詳しく解説します。

陰嚢水腫とは

陰嚢水腫は、精巣を覆う膜(精巣鞘膜)の内部に水様の液体が溜まる状態です。

これにより陰嚢が腫れ、大きくなります。

新生児から成人まで、あらゆる年齢で発症する可能性がありますが、特に新生児と高齢者に多く見られます。

陰嚢水腫の種類

1.先天性陰嚢水腫:新生児や乳児に見られるもの

2.後天性陰嚢水腫:成人になってから発症するもの

陰嚢水腫の原因

陰嚢水腫の原因は年齢によって異なります。

新生児の場合:

  • 胎生期の精巣下降過程での異常(鞘状突起の閉鎖不全)

成人の場合:

  • 1.精巣鞘膜での液体産生と吸収のバランス異常
  • 2.リンパ管や血管の閉塞
  • 3.外傷
  • 4.精巣捻転症などの精巣疾患
  • 5.精巣腫瘍
  • 6.感染症(精巣上体炎など)
  • 7.心不全や腎不全などの全身疾患

症状

陰嚢水腫の主な症状は以下の通りです。

  • 1.陰嚢の無痛性腫大(片側または両側)
  • 2.重さや不快感(大きな水腫の場合)
  • 3.陰嚢皮膚の緊張

診断方法

陰嚢水腫の診断には以下の方法が用いられます。

  • 1.視診と触診:医師が陰嚢を観察し、触れて評価します。
  • 2.透光試験:陰嚢に光を当てて透過性を確認します。水腫の場合、光が透過します。
  • 3.超音波検査:陰嚢内部の状態を詳細に観察できます。
  • 4.CT検査やMRI検査:必要に応じて行われ、他の疾患との鑑別に役立ちます。

治療法

治療法は患者の年齢や水腫の大きさ、原因などによって異なります。

新生児の場合:

  • ●多くの場合、1〜2年で自然に消失するため、経過観察が一般的です。
  • ●2歳を過ぎても消失しない場合は手術を検討します。

成人の場合:

  • 1.経過観察:小さな水腫で症状がない場合
  • 2.穿刺吸引:一時的な対症療法として行われることがあります。
  • 3.手術療法:
    • ●開放手術:水腫を切除し、精巣鞘膜を部分的に切除します。
    • ●腹腔鏡手術:より侵襲の少ない方法で、回復が早いです。

合併症と注意点

  • ●感染:稀ですが、水腫に細菌が侵入して感染することがあります。
  • ●不妊:非常に大きな水腫の場合、精子形成に影響を与える可能性があります。
  • ●精巣捻転との鑑別:急性陰嚢症の場合、精巣捻転との鑑別が重要です。

予防法

陰嚢水腫そのものを予防することは難しいですが、以下の点に注意することで、関連する問題を予防できる可能性があります。

  • 1.定期的な自己検診:陰嚢の変化に早めに気づくことができます。
  • 2.適切な衛生管理:感染リスクを低減します。
  • 3.外傷の予防:スポーツ時のプロテクター使用など。

まとめ

陰嚢水腫は、多くの場合良性で生命を脅かすことはありませんが、不快感や心理的ストレスの原因となることがあります。

症状に気づいた場合は、早めに泌尿器科医を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

特に、急激な痛みや腫れがある場合は、緊急性のある他の疾患の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

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