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虫垂炎の検査と診断
虫垂炎の診断は理学所見(身体診察)、血液検査、超音波検査、CT検査を組み合わせて行います。
理学所見 |
一番特徴的なのは右下腹部の圧痛です。時に反跳痛(手を離した時の痛み)を生じることもあります。 この診察で右下腹部の虫垂がある場所以外にも、圧痛と反跳痛がある場合は腹膜炎を疑います。 腹膜炎を疑う場合は近隣の総合病院に紹介させていただきます。 |
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血液検査 |
補助的に用いる検査です。白血球数とC-Reactive Protein(CRP)の値から炎症の程度を判断します。 特にCRPが異常高値の場合は強い炎症が起きている可能性が高いと言えます。 |
超音波検査 |
当院は超音波機器を備えており院内で検査可能です。 何度でも繰り返しリアルタイムに体内を確認できることが最大の強みです。 膿瘍(膿の溜まり)など液体を診ることにも長けていますが、腸管ガスがあると超音波が奥まで届かないため画像が作れません。 虫垂先端の向きによっては診断が難しいこともあります。 |
CT検査 |
腹腔内臓器を診るうえで最も汎用性が高い検査と言えます。 組織を通過したX線の量の差を画像にするため、実は内臓脂肪が多いほど診やすい画像が出来ます。 虫垂炎の診断においても有用な検査です。 |
虫垂炎の治療戦略
虫垂炎の治療は抗菌薬による保存的治療と、手術による根治的治療の2つがあります。
抗菌薬療法を選択できるのはカタル性虫垂炎と蜂窩織炎性虫垂炎になります。
壊疽性虫垂炎や穿孔性の虫垂炎はそもそも手術でないと治すことができないため緊急手術となります。
緊急手術はやむを得ない場合に行いますが、待機的に手術した場合に比べると合併症も多いため、避けることができるのであれば避けた方が良いです。
保存的加療は緊急手術に比較すると時間的コスト、金銭的コストともに優れていると言えます。
しかし「虫垂が残っている限りは虫垂炎になりうる」ということです。
つまり切除されない限り虫垂炎は再燃しえます。
特に「糞石を伴う虫垂炎」と、「45歳以上で発症から48時間以上経過した方」は抗菌薬の効きが悪く、結果として再燃する可能性も高いとされています。
また糞石を伴わない虫垂炎でも、30%程度の方は1年以内に虫垂炎が再燃し、手術が行われたという報告もあります。
そこで私たちは待機的な虫垂切除をおすすめしています。
当院では待機的虫垂切除を腹腔鏡下で、日帰りで行っております。